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グローバル化時代の清酒原料調達システム

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料理と酒は車の両輪
 料理と酒は車で言えば両輪のようなもので、その国の風土が育てた文化を感じるものだと思います。日本酒と日本料理は切り離せない ものです。最近、フランス料理店で日本酒を出すところが増えていますけれども、これは日本の中でのことで、フランスではやってお りません。日本のフランス料理店で出てくる料理は本当のフランス料理ではなくて、和風のフランス料理です。ご飯と味噌汁、漬け物 を食べて育ったシェフ達ですから、なんぼ頑張ってもフランス人の味覚にはなりません。
 私は料理人として石毛直道先生(国立民族学博物館教授/当時)と一緒に外国へ行って、日本の食事文化の紹介をしてきました。また、 私は「道楽亭」といういつも赤字を出している食べる場所をつくっています。そこへよく外務省の紹介で外国のフード・ジャーナリス トが来ますので、その時の話とか、外国で紹介した食べ物の彼らの印象等をお話したいと思います。

和食は刺身化・シンプル化の料理
 イタリアで(日本食の普及のイベントを)やりました時に、イタリア国立アカデミー料理学院の院長さんが、日本料理についての印 象を「日本料理はオードブルですか? メインディッシュはないのですか?」と言われたので「ご飯がメインディッシュです」と答え ました。多くの外国の人は、日本料理はオードブルだという感覚で捉えています。
 また、日本に来たボストンのニュースキャスターは「京都で会席料理を食べたが、始めから終わりまで魚で閉口した。日本料理のど こがヘルシーなのか。デザートまで魚にするのか?」と言いました。甘いアラ炊きをデザートだと思ったわけです。その彼は「市場に行けば、豆腐、海藻、キノコ、野菜もたくさ んあるのにそういうものを組み合わせて、なぜメニューに変化をつけないのか?」「鶏や肉(牛や豚)があるのに、どうして料理の流 れの中に入れないのでしょう?」とも言いました。
 外国を回って感じたことは素材選びが大切だということです。例えばドイツでも東南アジアでもそうですが、日本料理店では刺身用 の魚を日本から空輸しています。東南アジアでは潮流の関係か魚の身がぶよぶよで刺身にはとても使えません。そのうえ、水が汚染さ れて危険ですから別の料理になります。火工(加熱調理)です。さらに大事なことは、彼らはどの魚に馴染んでいるかということを調 べて料理しないと失敗するということです。
 ドイツのハンブルグの州立のホテル学校で、講演、実演、会食をしました時に、平目、まぐろ、鯖の刺身を出してみました。平目は活 き造りに、まぐろはわさび醤油で、鯖はしめ鯖にして出しましたら、好評だったのは鯖でして、作り方まで聞かれました。まぐろもま ずまずでしたが、平目は箸を付けない。魚を選ぶ場合は、彼らが何に一番親しんでいるのかということから料理に入っていかないとい けないと感じました。文化は慣れ親しむことが大切です。
 こんなふうに海外で日本料理を紹介していると、常にその本質は何なのかということを考えさせられます。私は日本料理はできるだ けシンプル化(日本画的薄化粧)・刺身化(ノン・クッキング)させるもので、味噌、醤油を使って調理することと考えています。 味噌、醤油の味に慣らすことが和風化することだと思います。

外人向けにひと工夫
 わが家に来られた、フランス人、アメリカ人もそうだったのですが、ごく普通に調味すると日本料理は単調に感じるらしい。味付け に起伏、リズムがないと言います。それでわが家では手を変え品を変えますが、それがすごく受けます。例えば、レタスのサラダに彼 らはマヨネーズかドレッシングをかけますが、私は辛子酢味噌に生姜を少し入れて、そこにサラダオイルまたはオリーブオイルを少しし のばせると、皆さんおいしいと言います。「ミソドレ」と名付けていますが、名前も好評です。「ごまだれ」もいいですね。「セサミ ソース」です。「ポンス醤油」にゴマ油を足して「オレンジドレ」、それはヘルシーと大喜びです。
 アメリカのフード・ジャーナリストが来られた時には、こごみをピーナツ醤油で和えて出しました(普通なら胡麻和え、白和え、胡 桃醤油和えで出します)。これなどは随分と新しい感覚の食べ方です。そして「カーターソース」と命名しました。アメリカ大統領で あったカーターさんの家はピーナッツを作っていましたから。

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