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SMという括り方の限界
SMでの酒類販売が拡大するにつれて、「SMの酒売場」と一括りにしてその特徴を整理するだけでは用が足りなくなってきた。SMの業態としての特徴を述べることは、CVSや専門店(ドラッグストア、ホームセンター、酒量販店など)などの他業態と比較することである。商圏範囲、立地、来店頻度、来店客の性年代の特徴、品揃えの範囲、、価格政策など、さまざまな観点から整理していくと、浮かび上がってくるSMの特徴は、「商圏は来店時間距離一五分」「週に二〜四回の来店頻度」「女性客比率が九割」「生鮮品・惣菜の品質と品揃えの優位性」であろう。よって酒類販売は、ふつうの人が家庭でふだん飲む酒を、三日?一週間に消費するロットで、 値ごろ感のある売価を設定して、食卓提案に組み込んで提案するとなる。そして、酒類は一店あたり年間売上高一億円、粗利益率一五・二%なる平均値がはじき出される。
 しかしながら、SM各社の酒類販売計数の一覧(図表5)には、そのような売場はひとつも見あたらない。これは「SMの酒売場」という括りでは大きすぎることを示 すものであろう。そこで、酒類の粗利益率の設定水準でグループ化し、より実態に近いSMの酒売場のモデルを探ってみる。元にするデータは図表5(『新・酒の教科書』二〇〇三年・商業界刊より)である。

ハードディスカウントの限界
 まず、SMを酒類の粗利益率の設定水準によって四グループに分けたうえ、GMSを取り分ける。各グループの酒類売上高と粗利益 額を示したのが図表1である。 読み取れることは、SMの酒類売上高は粗利益率を低くするほど(ハードに価格訴求すれば)売上高は増えるということだ。「粗利益率一七%以上」のグループの売上高四九〇 〇万円に対して、粗利益率がもっとも低い「一三%未満」のグループは一億五五〇〇万円とほぼ三倍となっている。
 前者の具体的なチェーン名を見ると(図表5)、いなげや、富士シティオ、トキハインダストリーなど顧客の利便性や品揃えなど店 全体のバランスのなかで酒類を無理なく販売するチェーンが多く含まれる。
 一方、後者には@SMに酒量販店を併設するスタイルで酒売場を展開しているタイヨーやイワイ(ラルズグループ)、Aスーパーセ ンターのPLANT、Bインレジ形式での酒売場を展開ながら、ビール・発泡酒・低アルコール飲料など購買頻度が高いカテゴリーは 徹底した低価格で販売するサミットやエコスの三つのタイプが認められる。
 これらの間にある「一五%以上一七%」のグループは「一七%以上」のグループに近く、「一三%以上一五%」のグループは酒量販店 スタイルで展開するマルトなどを含み「一三%未満」のグループに近い。
粗利益率を低く抑えることで売上を増やせるとして、問題は粗利益額も相応に増加するのかどうかである。 図表1の折れ線グラフは粗利益額を示している。「一三%以上一五%」の水準までは価格訴求により粗利益額が増加 しているものの、「一三%未満」のグループはほとんど増えていない。よって、コスト増にならずに展開することが課題となる。
 GMSは粗利益率と売上高を公表しているのがユニー一社であるため、参考値として確認するにとどめる。酒類の粗利益率は一七% と比較的高く設定され、売上高は一億一七〇〇万円と「一三%以上一五%」のグループにほぼ並ぶ。粗利益額は一九九二万円と群を抜 いて高い。この差が広い商圏をもち、地方都市においては百貨店的な利用が見られるGM Sの、酒類販売のポテンシャルの高さとしておこう。

粗利益率の低下が売場生産性を下げる
次に酒類の粗利益率によって酒類のカテゴリー別売上構成比がどのように変わるかを見てみよう(図表2)。酒類売上高の内訳は地 域によって大きく変わるため(九州で焼酎の割合が高いなど)、値づけ方針によって左右されると結論づけることはできないが、若干 の傾向が認められるからだ。
 もっともボリュームが大きいビール・発泡酒は、粗利益率によって売上高構成比が変化する傾向は見られないが、他の酒類では次の印象がある。
@ディスカウントするにつれて売上高構成比が高まるhウイスキー、焼酎
Aディスカウントするにつれて売上高構成比が低くなるhワイン、リキュール(低アルコール飲料)
図表5で個々のチェーンのカテゴリー別売上構成比を見ると、こうした傾向とは別に、何を売るか力点を明確にしているチェーンの 存在に気がつく。首都圏にありながら、エコスは焼酎比率が二二%もあるなどだ。  図表3は酒類カテゴリー別に一店あたりの売上高(平均)を整理したものである。特割酒類の売上高構成比が高くとも、販売金額が 小さければ重要チャネルとは言えない。特に確認したいのは、ディスカウントするほど売上高構成比が低下する傾向があるワインとリキュールだ。
 それぞれ売上金額を見ると、もっとも粗利益率を高めに設定している「一七%以上」のグループは、ワイン三四四万円、リキュール 三六〇万円である。これはもっともディスカウントしている「一三%未満」のグループの八五九万円、九五〇万円の半分に満たない。 販売している商品の詳細(価格帯・産地など)はわからないが、売上高構成比が高くとも販売額が小さすぎ、この売場を主要チャネルと 見ることはできないだろう。したがって、「一七%以上」のグループは、メーカー希望小売価格に近い価格で販売し、ある程度のボ リュームも期待できる売場として、その価値を磨くことがメーカーとの協力関係構築のポイントになるであろう。
 GMSの特徴はワイン・ウイスキー・リキュールの売上高構成比が比較的高く、金額的にも大きいことである。ワインとリキュール は一店あたりの売上高がもっとも大きく、ウイスキーも二番目である。GMSはいわゆる洋酒の販売接点として、特に重要な売場にな っていると言えよう。
 最後に売場生産性を見ておこう(図表4)。対象店舗は各チェーンの酒類売上高がもっとも大きい店舗である。よって金額は一般的な レベルよりもかなり高くなっている。
 傾向として次の点を確認できる。酒類は価格訴求によって坪あたり売上高を高めることができるが、坪あたり粗利益額は低下する。 特にある一定レベルを超えたとき(ここでは粗利益率一三%未満)、坪あたり粗利益額が大きく落ち込む。
 また、GMS(回答チェーンはユニー一社のみのため参考値)はSMにくらべて坪あたり生産性が著しく高いと見ることができる。
月刊酒文化 2004年 4月