時代や文化とリンクしたお酒に関する旬の情報サイト
酒文化研究所ホームページ
会社概要酒文化の会メールマガジンContact UsTOP
イベント情報酒と文化コラム酒文研おすすめのお店酒文化論稿集酒飲みのミカタ特ダネ
海外の酒めぐり日本各地の酒文化見学できる工場・ミュージアム酒のデータボックスアジア酒街道を行くリンク集

 
<論稿集トップへ

食と酒におけるイタリーメイドの世界戦略

女性は酒をどう選ぶ

「とりあえずビール」衰退の背景

一〇年後の酒市場 何が増えて何が減る

オープン価格化で
  あなたの仕事はどう変わる?


デフレ時代の
  ハイクラス活性化戦略


本格焼酎の産地呼称
  を考える


機能分化する酒類販売

広告規制と酒類
  マーケティングの将来


酒造メーカーと農業
 の新たな提携条件


灘五郷の伝統と革新
酒論稿集
酒と健康
本格焼酎の産地呼称を考える
 本格焼酎という名前はこれぞまさしく日本の伝統酒と連想される、実によい名前だ。どうしても二流品イメージがつきまとう焼酎乙 類という表記に比べると格段の趣である。したがって、最近では多くの焼酎乙類製品が本格焼酎(沖縄県は泡盛)の名前を使っており、 商品名には原材料の名が被せられていることが多い。しかしこの名称はもともとが焼酎乙類の別名表記として認められていたものなの で、当初の規定はその名前から想像されるようなしっかりしたものではなかった。
 チューハイブームで焼酎が活況をきたした八〇年代中頃には、トマト焼酎、ワカメ焼酎など目新しさを追求するべく、ふつうに考え るとあまりアルコールの原料になるとは想像しにくい原材料名を冠した焼酎も発売されていた。その後少しずつ表示基準が整備され、 いまではアルコール発酵に適さない植物名の焼酎はほぼ姿を消した。そして今回ようやく財務省主税局から表示制度について新しい規 定が設けられようとしている。
 しかし将来を見据えると、今回の決定はまだ問題の緒についたにすぎない。海外産焼酎の日本への流入、また日本からの輸出を考え た時、より明解でグローバルスタンダードに適合するような呼称制度が必要となるはずである。ワインや他酒類、農水産物の事例を参 考にしながら、本格焼酎の呼称制度・体系について考えてみる。

現在のマーケット状況
 焼酎乙類については、原材料名を商品名と併記することがほとんどである(麦焼酎○○というように)。そして、多くの場合は、麹 を除けばその原料だけで造られている。米焼酎、麦焼酎、そば焼酎、さつま芋焼酎などがそうである。一方で、胡麻焼酎などのように、 他の原料の焼酎とブレンドしているものもある。しかしラベルの表面だけを見ると一目ではその違いは判断できない。
 この問題は、最近急速に拡大している甲乙混和麦焼酎でも同様である。甲乙混和の場合は全体に占めるブレンド比率は甲類のほうが 多いわけだが、甲類の原材料に何が使われているのかは明確ではない。そして全体に占める比率が半数以下である麦が主原料であるか のように見えるデザインになっている。
 今回財務省がまとめたプランでは、本格焼酎と名乗るものは「麹使用・単式蒸留器で蒸留・水以外の添加物なし・現に出荷実績のあ る焼酎乙類」のみに認められる。焦点となっていた本格焼酎を名乗れる原材料は、「穀類・イモ類・砂糖・清酒粕・その他の原料」 となり、その他の原料については、この改正以前に実績のあるものだけとなる。原材料の冠表示については使用する原料のうち最大の もののみが許される。したがって、今後もし穀類以外の新しい原材料を使って単式蒸留で乙類焼酎を造ったとしても本格焼酎とは表記 できなくなる。
 さてそれでは現在の原料別構成比を確認しておこう。
 最大は、麦で五四%と過半数を占める。以下、さつま芋一九%、米一七%、そば六%と続き、上位四原料で市場全体の九六%を占め ている(図表2)。その他の中に酒粕や胡麻、デーツなどさまざまなものが入ってくる。また、過去五年間の課税移出数量の推移を見て も総量が順調に増加していることがわかる(図表1)。
 製造方法は、常圧蒸留と減圧蒸留とに大別される。常圧蒸留の中には昔ながらのカメ仕込み、丼(どんぶり)仕込み等も含まれており、より原材 料の個性が強くでる製法であるが、近年の香味のライト化嗜好の中で、その構成比はかなり少ないものと推定される。現在の主流は昭 和四〇年代に開発された減圧蒸留である。この方式で蒸留するとライトでくせの少ない焼酎に仕上がり、これにイオン樹脂交換膜を使 用したものが人気を博している。
 また、貯蔵熟成方法でも、タンク・カメ・樽・桶など原料別にバラエティに富んだ方式が取られ、特に最近では熟成タイプのものの 人気が高まる傾向にある。また熟成時の温度管理によってさまざまなタイプのものが生まれてきている。泡盛を含む米焼酎では熟成酒 にしつぎ方式を採用しているところも多い。ほかにも熟成時に超音波や音楽を聞かせたりするなどさまざまな技法がためされているの が実情である。

<<前頁へ      次頁へ>>