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お酒で身体はどう変わるのか
 アルコールを飲んでいると、身体がどんなふうに変わるのか。またどんな病気にかかりやすくなるだろう。それを知っておくことも無駄ではあるまい。「酒は百薬の長」とも言うけれど、それはどの程度本当なのだろうか。もちろんいろいろ身体に影響するわけだが、ここでは思いつくままに大事なトピックのいくつかを紹介してみたい。

脳卒中(脳出血と脳梗塞)
 脳の動脈が破れて出血し(脳出血)、また血管に血の塊がつまる(脳梗塞)現象は、発作的に突然起こるものであり、まとめて脳卒中と呼んでいる(クモ膜下出血は含めない)。初めは梗塞だった部位でも、血が通わないために細胞が死んだ部位から出血することがある。また出血で圧迫された神経細胞に酸素が通わなくなって、梗塞の現象が起こることもある。だからあまり厳密には両者を区別しないほうが現実的である。
 幸いに命が助かった場合でも、半身不随や言語障害のような後遺症が残ることが多く、残りの人生は辛いものになる。リハビリを強制されても、目に見えるほどはなかなか改善しないので、なかなか努力も続かない。だから発病を予防することが大事なのである。
 人は動脈とともに老いるといわれる。血管がボロボロにならないように、若いときから節制し、なるべく生活習慣病にならないよう注意すべきである。ここではお酒との関係にしぼってコメントしておきたい。

1.高血圧からの発作を防ぐ
 脳出血は、血圧が高くなって起こることが多い。だからふだんから食事に注意して、高血圧にならないようにしよう。身体に入る食塩量を減らすことが、もっとも重要である。ストレスでも血圧は急上昇するから、感情を平静に保ち、カッとならないようにしておこう。また冬に急に寒い外気にさらされると、キュッと血管が収縮し、一時的にひどく血圧が上がる危険を知っておきたい。
 お酒を飲むと、直後には血管が拡張して血圧が下がる。しかし大酒飲みを続けていると、たいていは高血圧になってしまう。戦国時代の武将上杉謙信は、大酒を飲んで脳卒中で早死にし、全国制覇の野望が満たされなかった。
 アルコールを飲んだ時刻と脳卒中発作にもいささか関係がある。エチルアルコールが分解してアセトアルデヒドができると、血管が収縮し、血圧が上がる。人によっては顔色も青くなる。その頃が危険なのである。
 そこに(とくに血管がもろい人に)以下のような条件がダブルで重なると危険である。例えば税金の申告書を書かねばならぬ、会っていると頭痛がするほど嫌な人と交渉をする。そんなときに、発作が誘発されやすい。
 ゴルフで朝一ティーショットのとき、それがキッカケで発作が起こることがある。モーニングサージといって朝に血圧が急上昇しやすいが、関係あるかも知れない。大量のチョコレートを賭けると、さらに緊張が高まって血圧が上がる。
 ショットだけでなく、パターも今度は心筋梗塞になりやすいので危険だ。精神緊張があるし、胸部を圧迫して、血液が心臓に還流しにくい姿勢のためもある。前の晩に飲んだお酒が残り、寒い風にさらされると、緊張による高血圧が、さらに増幅される。
 温泉旅館で熱い風呂に入るときには、血管系の事故が多い。温かい部屋で羽目を外して大量のお酒を飲み、寒い脱衣場で裸になると、血圧が上がる。さらにあわててドブンと湯船に入ったりすると、皮膚の温度センサーからの警報で、血圧が急上昇する。
 湯船のなかで脳出血になってそのまま倒れた例がある。助けようとした人まで足をすべらして水を飲んで、二人とも助からなかった事故があった。年配者の入浴のときに多いのであるが、とくに飲酒による血圧変動に注意しておきたい。また四二度以上のお湯で事故が多くなるから、お湯はぬるめのほうが安全である。
 ちなみに脳卒中は一二月〜一月の極寒の時期に、心筋梗塞は少し温かくなった二月〜三月に多いそうである。気温が変動しやすく、厚着のまま動き回れば、胸部が圧迫されるからである。また次項に述べる血液の凝固性の変動(ストレス時は、血が固まりやすくなる)も手伝っているかもしれない。
 昔、秋田や青森などの寒い地方では、冬に脳出血になる人が多く、そのため平均寿命が短かかった。貧乏でもあったため、食べる肉(タンパク質)の量が少なく、血管壁を丈夫にする材料が足りなかったのである。ちなみに沖縄では、コンブとブタを煮こぼして多食するから長寿、というのが定説になっている。
 寒い国では、温まるためにアルコールを飲み、ツマミに塩分が多いツケモノを食べる。すると手足がむくみ気味になってしまう。それは保温には有利だが、食べたナトリウムが身体をむくませ、血圧を上げるのである。

2.血液の凝固性について
 日本酒を飲んでいると、血が固まりにくくなる。私の痔が悪くなったのは、どうやら日本酒の深酒が続いた後だったようである。
 だが反対に、お酒を急にやめると、とたんに血が固まりやすくなるという研究がある。だから何かのキッカケで毎日飲んでいた日本酒をやめた人が、直後に脳梗塞を発病したという話もある。それは血液の凝固性が急に亢進したためだ。どうせ飲むなら、毎日飲んだほうがいいことになるが、そんな飲兵衛の勝手な理屈は、いつでも通用するだろうか。

フレンチパラドックス
 フランス人は大酒飲みのくせに長生きである。それはワインが健康にいいため、と言われている。実際、日本酒で見られるような血液凝固性の変動は、ワインを飲んでいてもあまり起こらないらしい。
 その他、赤ワインに含まれる抗酸化物質であるポリフェノールも、動脈硬化を防ぐ作用があるはずだ(後述)。
 肝硬変(ウィルス性肝炎をよく治療しないでいると、かかりやすい。この場合、とくにアルコールは厳禁)にかかって慢性化すると、肝臓がんや食道静脈瘤からの出血で亡くなることが多い。そのとき肝硬変で、血を固める作用をもつ血小板の数が減ることも関係がある。そうなるとますます出血が止まらない。発病や病気の急変のキッカケに、飲酒が関係していることもある。

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