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酒米生産の現状と課題
1 多様化する酒造好適米産地
(1)過剰感が生じる酒造好適米
 酒造好適米の需要量は1984年から拡大していたが、最近は一部を除いて需要は減りつつある。しかし全国の酒造好適米作付面積と出回り数量は、ここ数年は横ばい状態が続いており、遡ると、87年から94年の間に急速に増加した(図表1)。その結果、最近の酒造好適米生産量は、一部を除いて過剰気味となっている。これは、価格にもはっきり現れている。99年産の価格を93年産の価格と比較した場合、全ての銘柄の価格が下落している(図表2)。99年産の価格で2万8500円と高値を付けているのは兵庫産の山田錦だけで、他の産地銘柄より約1万円程度高い。
(2)主産地県の酒造好適米生産
 主産地県を中心に作付面積と出回り数量の推移を分析してみる(図表3)。県別に見ると兵庫県が作付面積.出回り数量ともに他を圧しての第1位になっている。全体に占める割合は3分の1以上を占め、兵庫県の動向がかなり強く全国の動向に影響を及ぼしていることがうかがわれる。
 兵庫に続く新潟.富山.福井.長野.広島の各県の割合を見ると、新潟県と広島県の作付面積.出回り数量が増加し、長野県は停滞、富山県.福井県は減少と地域差が見られる。
(3)進行する産地の多様化
 最近10年の流れで特筆すべきこととして87年頃から、今まで酒造好適米を生産していなかった県での生産が大幅に増えたことがあげられる。醸造用玄米(酒造好適米)の年産別.都道府県別検査数量を見ると(図表4)、89年産では、北海道、関東、4国など1道1都1府18県でまったく扱っていない。ところが98年には鹿児島、沖縄を除くすべての県で扱っている。
 さらに詳しく見てみると、89年産の上位10県は、兵庫県、新潟県、福井県、長野県、富山県、広島県、石川県、秋田県、島根県、岐阜県。ほかに1000t以上の県としては滋賀県、京都府がある。ほぼ10年後の98年産の上位10県を見てみると、島根県と岐阜県が消え岡山県と山形県が浮上している。ほかに1000t以上の県としては北から青森県、福島県、岐阜県、愛知県、滋賀県、京都府、島根県、福岡県、佐賀県と大幅な増加が認められる。これは近年の地元米による酒づくりを推進する動き、すなわち産地の個性を際立たせようとする酒造メーカーと生産農家の連携によるブランド育成の試みの拡大がはっきりと表れていると言えよう。
(4)酒造好適米品種の多様化
 主要品種を中心に酒造好適米の品種別の作付面積と出回り数量の推移を見てみる。1996年には5百万石が全体の37%、山田錦が全体の23%の割合を占めており、この2品種だけで約50%を占める(図表5)。この2品種の高位安定が顕著になる一方で、その他に区分される品種の割合の急増が注目される。この急増の要因は、地元オリジナルのものをということで特に90年以降、県の農業試験場等で盛んに新品種が開発されたことによるものである。ちなみに99年までに育成された品種は41種類であるが、そのうち実に15種類が90年代に開発されたものである。
(5)産地のタイプ
 酒造好適米の自給率に着目すると、各県を3つのタイプに分けることができる。第一は購入する米のほとんどが自県産米であり出荷先もほぼ県内であるという「自給自足タイプ」。秋田.新潟.富山.島根がこれに該当する。第二は「自給移出タイプ」である。県内の需要に対して好適米生産が過剰気味で、県外向けの比率が高い地域である。長野.福井.滋賀.兵庫.岡山.広島はこのタイプである。第三は「移入依存タイプ」で、県内の需要に対して好適米生産が不足気味のため、好適米の大部分を県外からの移入に依存している地域だ。北海道.石川.愛知.京都.愛媛.高知の各県が該当する。
 こうしたタイプの違いは、清酒メーカーの原料米政策や産地表示のあり方などに影響し、米の産地間の移動が容易であるという性格とあいまってさまざまな見解を生んでいる。

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