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うりずん
沖縄郷土料理の老舗でメニューのカタカナに悩む
難解な沖縄料理の名前に挑む
 首都圏や関西圏を中心に沖縄料理店が進出し続け、沖縄料理もかなり全国区の食べ物になってきた。チャンプルーや沖縄そばなど、基本料理の名は誰もが知るところだ。しかし、その程度の知識では沖縄料理の真髄にはとうてい辿りつけるものではない。沖縄出身か縁のある方でなければ、おそらく料理店のメニューすら理解できないだろう。ナーベラーンブシーやヒラヤーチーがいったい何なのかわかりますか? せめて漢字交じりなら想像もつくのだが、カタカナではまったくお手上げである。
 那覇市安里に「うりずん」という店がある。数ある沖縄の郷土料理の店の中でも歴史は古く、沖縄ではたいへん有名な店らしい。今でこそ一般的になった沖縄料理・琉球料理だが、その基礎を作った店がこの「うりずん」だという。沖縄料理を勉強しつつ、泡盛を飲むために我々はこの店を訪ねてみた。

有名店にはアネックス(新館)ができていた!
 沖縄料理には、大きく分けて2種類あるらしい。それは大衆料理と宮廷料理である。沖縄料理で最も有名になったチャンプルーは典型的な大衆料理。そして、ラフテー(豚の角煮)は宮廷料理の流れを汲む。ところがこの宮廷料理が広く食されるようになったのは、実はそれほど古い話ではない。なんと30年前には、ラフテーなどの宮廷料理は一般には知られていなかったという。そして、それを広く紹介し、広めた人が「うりずん」の店主である土屋さんなのだ。クース(古酒)に力を入れ始めたのもこの店がはしりだという。
 店は那覇市安里にあり、市の中心部からはちょっと離れた場所にある。店舗は昔の民家を改造した趣ある建物だ。訪ねてみるとまだ早い時間なのに、満員。入れないので、帰ろうとすると、店員に引き止められた。
 「ちょっと待ってください。今、見てきますから」
 入り口から店の中がすべて見渡せるほどの広さなのに。と思っていると、「どうぞ」と外へ連れ出された。店の向かいに新館ができていたのだ。
 繁盛店だけあって。地元の常連に交じって観光客も多く訪れる。文化人や芸能人も足を運ぶという。我々は新館の2階の広間に案内された。新館はどちらかというと、割烹のような感じだ。本館よりはきれいだが、ちょっと風情には欠ける。

国内の郷土料理とは思えないネーミング
 メニューを見ると、ずらりと並ぶ沖縄郷土料理。まず、この店で頼まなければいけないのは「ドゥル天」。これは現在では多くの居酒屋で定番メニューとして出されているが、元はこの店のオリジナル料理だ。蒸したターンム(田芋)を豚肉や椎茸といっしょにペースト状にし、それに衣をつけてコロッケのように揚げたもので、食べると衣がサクサクして、椎茸の風味が口に広がってうまい。この揚げる前のものは“ドゥルワカシー”という料理で、祝い事の折などに食べる伝統料理だという。しかし、“ドゥルワカシー”という料理名、これは予備知識がなければ、とても国内の郷土料理の名前とは思えないだろう。インドネシアの料理と間違われたとしても不思議はないだろう。

もっと漢字を使ってもいいんじゃない?
 メニューにはカタカナの料理名ばかりが並ぶ。カタカナではないのは“島らっきょう”それに“豆腐庸”などで少数派。“島らっきょう”は、沖縄産のラッキョウを塩で浅漬けにしたものをそのまま食べる。これは泡盛にベストマッチ。“豆腐庸”とは、豆腐を泡盛に漬けて半年ほど発酵させた珍味で、古酒との相性は抜群。
 それはともかく、“島らっきょう”や“豆腐庸”は漢字とひらがななので、一度説明を聞けばわかるし、説明を聞かなくても多少想像がつく。これが“トーフヨー”と記されていたら、わからない。ドゥル天の素材の田芋にしても、ターンムでは何のことかわからないが、田芋だったらイメージが描ける。
 何故もっと漢字を多用しないのだろうか。たとえば“ヒラヤーチー”。これは沖縄版お好み焼きで、どちらかというと韓国のチヂミとか関西や広島方面のねぎ焼きにイメージが近い。平たく焼くから“ヒラヤーチー”というのだそうだ。だからメニューには“平焼き”と書いて“ヒラヤーチー”とルビをふっておいてはどうだろう。
 その日の突き出しに“ムーチー”という郷土料理が出たが、これは餅を葉っぱでくるんだ“ちまき”のようなもの。“餅”と書いて“ムーチー”とルビふっておけばわかる。いまではメジャーになりつつある激辛調味料の“コーレーグース”は“高麗胡椒”と書いてコーレーグースだ。「コーライコショー」→「コーレーグスー」→「コーレーグース」と、苦しいけど読めそうである。

これでいいのだ沖縄料理
 沖縄では耳から入った言葉を何でもカタカナで表記するという習慣があるようだ。アメリカ統治時代には英語もまず耳から入ってきたという。だから沖縄の町には“コーヒーシャープ”という看板をみかける。これは本土でいうコーヒーショップ。“ランチバフェ”はランチビュッフェのことだ。どちらも前者の方がネイティブな発音に使い。夏になると知人が集まって海辺にテントを張って酒を飲みまくるイベントがあるそうだが、これを “ビーチパーリー”という。実に格好いい。サンタモニカでやるような響きがある。発音はそうであっても、本土の人ならビーチパーティーと表記するはず。しかし沖縄の小学生はきっと「昨日ビーチパーリーをやりました」と日記に書くに違いない。
 泡盛の杯を重ねるうちに、何故かそっちの方が正しいように思えてきた。やっぱり沖縄料理はカタカナでいいのだ。

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