ご挨拶

設立の趣旨

 酒は人類の発祥とともに人の魂と絡み合って成長してきました。うるわしい酒の文化は人間の感覚を洗練し、心身を豊かにすることができます。酒は生命の水、百薬の長といわれるゆえんです。

 しかしながら酒のあり方は現在大きく変化しつつあります。人々に安らぎや喜びを与える一方、肉体や精神への悪影響も心配されています。またグローバル化の進行とともに酒の規格や制度が見直され、消費の面では酒をコントロールしながら飲むスタイルが広まるなど、世界的な規模で構造変化が起こっています。  こうした変化の時代には生産、販売、消費、行政など異なる立場を統合し、新たな均衡を発見する専門的な研究機関が必要です。私どもは酒を人々の暮らしや営みに密着した文化としてとらえ、人と社会にとってよい酒のあり方を考え普及することを目指して酒文化研究所を設立いたしました。酒を造る人、売る人、楽しむ人、そして酒の世界のすべての人々と手を携えて豊かな酒文化をつくり出すために微力を尽くす所存でございます。